モリモトのピロシキ

千歳の中心街で大昔から営業しているパン屋さんなモリモト。
ここのピロシキが美味しいと、中学時代に同級生のS君から聴いていて。
実際、当時数十円で購入出来たピロシキは美味しく。

進学した高校がモリモトまで徒歩五分程度だったので、お昼休みに買い出しに行くこともしばしば。
しかし、この時間帯に校外へ出るのは禁止。見慣れないオッサンに街中で声を掛けられ。

その日の夕刻、昼休みに街に出た者がこの中に居るようだが手を上げろと担任から。
自分はあのオッサンに氏名まで伝えていたし、そんなに悪い事をしたとは思っておらず、手を挙げ。
そして、自分が誘ったM君も手を挙げ。

黒板の前に立たされた自分は「どうして外に出た?」に対して素直に「モリモトのピロシキを食べたかったからです」と。
すぐさま担任から厚い書物で頭をぶっ叩かれ。
自分が誘ったM君まで叩かれそうになり「こいつは自分の誘いに乗っただけだから!」と庇ったものの、既に手遅れ。

M君にはその後に謝りました。「俺のせいで」と。
でも、M君は笑って許してくれて。
校則で禁止されていたアルバイトや単車の仲間でもあったので、こんな痛みはへっちゃらで、それよりも庇ってくれたのが嬉しかったそうで。

あの高校の教師は、何かあった時の問題を避けるやる気のないオッサンとかお年寄りばかりだったのは一年次から気付いていました。
サラリーマンでもやっていた方が、よほど似合っていそうな残念な教師というか。

先月の上旬に20年ぶりの帰省となった千歳。
三日目の朝は中心街のホテルからモリモトに寄り、プリンを三つとピロシキを四つ入手し、バスでちょっと離れた実家まで。
腸に末期癌を抱えた母は食べられるモノも限られていました。プリンだったら何とかなるかもと。

実家に到着し、看病していた叔母と母とピロシキとプリンの談義になりました。
母は御粥か素麺くらいしか消化出来ず、揚げ物のピロシキなど口にしたら、痛みを伴う後も大変で。
母はそれを食べたがっていましたが、止められることに。
「私、何か悪いものでも食べちゃったのかしら?」と母は漏らすのですが、消化器系の末期癌だということをすっかり忘れている様子。
自分も食べさせてあげたかったです。しかしそれをしてしまうと介護する叔母にも面倒を掛けてしまい。

朝食をまだ頂いていなかった自分がピロシキを二つ頂くことに。美味しく幸せな表情でピロシキを頂き。
母はそんな自分を嬉しそうな笑顔で見つめていました。
うらめしそうに観られていたワケではなく、幸せそうにでした。

これは自分の幼少期に経験した場面と同じ母の笑顔でした。

自分が小学二年生くらいの頃、クリスマスに近い時期だったか突然母から一緒に街に出ようと誘われて。
行き先はちょっと洒落た雰囲気の喫茶店で。
そこで、自分はクリームソーダを頂き。母は一番安いコーヒーを注文していて。
滅多に味わえないクリームソーダを頂く自分、母は嬉しそうに眺めていて。
母は最後に「お兄ちゃん達には内緒だからネ」と。

兄達にはその件をずっと黙っていました。
育ち盛りの三人を連れて行くには寂しい懐の母だったでしょうし、兄達からいつも酷い扱いを受けていた自分が、ちょっと気の毒だったのかも知れません。(三男坊の兄弟での扱いは世間でそんなものと今でも思っています)
ともかく、ピロシキを美味しく頂く自分を見つめる母は、あの時と同じでした。

そんな場面を思い出し、またしても涙が抑え切れずな自分は残ったピロシキを二つぶら下げて逃走。
叔母の話では、母はその後にプリンを美味しそうに頂いてくれたそうです。
幸い、それでお腹を下すこともなかったそうです。

母の通夜の場面、葬儀を担当していた営業さんが気を効かせてくれました。
集まった親族に、モリモトのピロシキを振舞ってくれて。
葬儀の打合せの途中、ピロシキの話題を耳でしっかり掴んでいてくれたらしく。
集まった親族一同で美味しく頂きました。

全く罪なモリモトのピロシキです。
美味しいプリンを自分は口にしなかったものの、もしかしてあれは当時のクリームソーダな自分だったのかもなぁと。
(読み返さずに一気に綴った本文なので、誤字脱字お許しを)

モリモトのピロシキ」への2件のフィードバック

  1. モリモトもいまや全国区だからなあ。往時を想うとびっくりしてしまう。
    ピロシキは俺も好きだった。あとカレーパンも。
    ピロシキ、カレーパン、ハンバーガー、これらの初体験はすべて、モリモトの製品だった。

    • ビートル101でアルバイトしていた頃、モリモトのクリスマスパーティーが開催されたり。
      あそこの社長さん、事情を抱えた若者を率先して採用していたみたいで、なかなかの人物で。

      ピロシキ、いまや220円でちょっと驚いちゃったけど、味は相変わらず素晴らしかったよ。

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